免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断や専門的アドバイスを提供するものではありません。税制や運用は改正されます。実際の対応は、必ず税理士にご相談ください。
このサイトの運営者について: 運営者(びくす合同会社)は税理士ではありません。
税務調査の連絡が来たときの一般的な流れを、国税庁の「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」にもとづいて説明します。後半では、水商売の店が調査前に整えておきたい資料を挙げます。括弧内の問番号が、同FAQの該当箇所です。
税務調査は、事前の連絡から始まるのが原則
実地の調査を行う場合は、原則として事前に通知があります。
- 方法: 法律に決まりはなく、原則として電話で行います(問12)
- 時期: 法律に日数の定めはありません。調査の開始までに、納税者が準備できる相当の時間的余裕を置きます(問13)
- 伝えられる内容: 調査を始める日時と場所、調査の目的、対象となる税目と課税期間などです(問20)
出典: 国税庁 税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)
事前の通知がない場合もある
同じFAQには、申告の内容や過去の調査の結果、事業の内容などから、事前に通知すると不適正な行為が容易になる、正確な課税の把握が難しくなるなど、調査の適正な実施に支障が出るおそれがあると判断した場合は、事前通知をしないことがある、とも書かれています(問20)。通知をしない場合でも、調査の目的や対象の税目、期間は、調査を始めた後に速やかに説明します。
事前通知をしないこと自体は、不服申立てができる処分には当たりません。事前通知をしない理由の説明も、法令上は求められていません(問21)。連絡なしに調査員が来る可能性も、あらかじめ頭に入れておくとよいでしょう。
日程の変更は、理由があれば相談できる
事前通知を受けた後でも、日程の変更を協議できます。例として、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が挙げられています(問16)。申し出は口頭でも差し支えありません(問17)。
税理士に依頼している場合の連絡先
税務代理権限証書を税理士が提出していて、納税者の同意が税務代理権限証書に書かれている場合は、事前通知は税理士に行えばよいとされています(問14)。同意が書かれていない場合は、納税者本人と税理士の両方に通知されます。
連絡の窓口を誰にするかは、税理士と事前に決めておくと慌てずに済みます。税理士の探し方や、初回相談で確認したい点は、水商売の税理士の選び方にまとめています。
帳簿書類の提示と、預かり(留置き)
調査では、帳簿書類などの提示を求められます。正当な理由なく提示や提出を拒むと、罰則(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が適用されることがあります(問3)。調査員が事務所にある書類を預かる「留置き」は、納税者の理解と協力を得て行い、強制的に留め置くことはありません(問10)。留置きの必要がなくなったときは、遅滞なく返還すべきこととされています。返還を求めた場合も、特段の支障がない限り速やかに返還します(問11)。
調査が終わるときの手続
調査が終わると、結果に応じて手続が分かれます。
- 申告に誤りがなかった場合: 更正や決定をすべきと認められない旨を書面で通知する制度があります。実地の調査を行った税目・期間については、原則として再び調査をしません。ただし、新たに得られた情報に照らして非違があると認められる場合(例: 取引先の調査で、当初把握されていなかった誤りが分かった場合)は、再び調査を行うことがあります(問28)
- 申告に誤りがあった場合: 調査結果の内容の説明を受けます。調査員が修正申告を勧める場合がありますが、応じるかどうかは納税者の判断です。応じない場合は、調査結果にもとづき更正などの処分が行われます。修正申告をした場合は、不服申立てはできず、一定期間内であれば更正の請求ができます(問25・26)。納得できない点は、その場で結論を出さず、税理士に相談します
調査前に整えておきたい資料(実務上の備え)
ここからは、国税庁のFAQにある内容ではなく、一般的な実務上の備えです。日々の記録が整っていると、調査のときに説明しやすくなります。
- 売上の記録: 日ごとの売上日報、伝票、レジのデータ。現金の入出金が追えるようにしておきます
- 預金通帳: 店と代表者個人の通帳。入金の内容が説明できる状態にします
- キャストへの支払いの記録: 報酬の計算方法、支払い日、源泉徴収の計算と納付の控え。ホステス等の報酬の源泉徴収の考え方は、国税庁の説明で確認できます
- 契約と取引の書類: キャストとの契約書、仕入れや賃貸の請求書と領収書
- 経費の根拠: 交際費、衣装、送迎などの支払いについて、何のための支出かをメモで残しておきます
連絡を受けたときの動き方
- 通知された日時、場所、対象の税目と期間を、聞き取って記録します
- すぐに税理士へ連絡します。顧問の税理士がいない場合は、調査に対応できる税理士を探します
- 日程の都合がつかない理由があれば、変更を相談します
- 対象の期間について、すでにある資料を集めます。後から記録を作ったり、書き換えたりはしません
- 調査では、事実にもとづいて答えます。分からないことは、その場で憶測を答えず、確認してから答える旨を伝えます
まとめ
- 実地の税務調査は、原則として事前の連絡から始まります。ただし、事前通知をしない場合もあります
- 日程の変更は、理由があれば相談できます。税理士が代理人なら、連絡は税理士へ行く場合があります
- 調査の前に、売上の記録、通帳、キャストへの支払いの記録をそろえておくと、説明がしやすくなります
- 個別の対応は、必ず税理士に相談してください